仕上がり期

2008年11月1日 土曜日

11時に小屋入り。

役者を舞台に集める。
「本プロジェクトにおける商品の魅力を再確認し、顧客にアピールする方法については営業それぞれがもう一度基本に立ち返り、現在のやり方は間違っていないか、商品の効能をアピールするあまりお客様のサインを見逃していないか、考え直してください」
とアナウンスする。

バラシのドライバーをねこさんに頼んだ。
俺が運転したら、今回こそ事故る。

昼2時開演。
1話の山口君が、軽さを取り戻していた。
出そうと思って出る軽さではない。
松茸と同じで、地道に歩いて見つける、本人にしか表現しえない軽さなので、袖で聴いていてほっとした。
亜企ちゃんは回を経る毎に熱がこもってきた。
熱と孤独が表裏一体となれば味わい深いのだが、そこらへんは一部の人にしか伝わらないだろう。
わかりやすくすれば多くの人に伝わるのだけど、伝える味の繊細さは失われる。
チェーン店になったらまずくなる店のようなものか。

2話と3話は笑いの反応が多い。
笑えるのだけど、笑わせる芝居ではないので、大爆笑には至らない。
2話は地獄笑いをものにした綾香が快調。
芹くんは、トホホな感じを出さず、かっこいい声を出し続けることで<後ろががら空き>というニュアンスを出している。
3話は鶴マミが落ち込むところに尽きる。
そのシーンは普通に悲しいらしく、毎回泣きそうな顔をしている。
それまでの会話はすべて無駄話と割り切り、おそらく割り切りゆえに役者の我が出ておらず、お客さんをリラックスさせているようだ。
4話は知恵ちゃんが元気。
元気いっぱいという元気さではなく、元気いっぱいの女の子が普通に話しているという感じ。
タカのとぼけたキャラは、半分以上は地が出ている。
声がこもる時があるが、いい時はバカな体操のお兄さん風で面白い。

終演後、お客さんに挨拶。
綾香のお母様から大量に海苔巻き、おにぎりの差し入れ。
楽屋で広げ、あぐらをかき、山賊の気分で食べる。

ソワレまでの待ち時間、眠気に耐えられず少しうとうとする。

7時ソワレ開演。
全体的にほぼ仕上がったかなと思う。
あと6ステージくらいあれば、もっと熟して良い芝居になるのだが、それは言っても仕方ない。

終演後、和民へ。
内田びん太さんと少し話す。
明日に向けての最後の作業が残っているため、10時に失礼する。
帰り際、三代川、深津君らに挨拶。
三代川、すっかりお父さんの外見になっていて、初めは誰だかわからなかった。

11時帰宅。
寒かった。
日本酒を暖め、ゆっくり飲んだ。

麻薬のような

2008年10月31日 金曜日

7時半起き。
稽古から本番にかけ、一度も寝坊せずに済んだ。
良い傾向だ。

夕方、制作の件で綾香と知恵ちゃんからメール。
自分の不注意でミスが出てしまった。
劇場に向かう途中、事後策を二人にメールする。
トラブルにならねばよいがと祈りつつ、6時過ぎに小屋入り。

準備はルーティーン化しており、バタバタすることなく進んでいた。
トラブルをフォローするための作業をし、開場する。

前説、昨日よりさらに落ち着いてきた。
うまくできたとは言わないが、すくみ上がりそうになる感覚はすでにない。
お客さんの顔一つ一つを見るのではなく、全体を一つの大きな集合体として見ると良い。
そんなアドバイスを昼に受けていたのも良かった。
それでもやはり最後の方では緊張に捕まった。
組み伏せたつもりだったが、どこかに潜んでいたようだ。
どこからくるんだおまえは?

芝居は今日で半分のステージが終了。
そろそろダレてくる頃合い。
気をつけていてもそいつはやってくる。
緊張と同じように。

袖で芝居を聞きながら、明日以降の直しを考える。
ダメ出しではなく、基本に立ち返った上で、それぞれの役者の<売り>の再確認が必要だろう。

終演後、山下さん、Lindaさん、ハチさんらと飲む。
トシさんも飲みに加わる。
山下さんとハチさん、台本を誉めてくれた。嬉しい。
誉め言葉は麻薬のようなものなので、常習者にならないよう戒めているのだが、今日はどっぷりと浸り、いい気分になってしまった。
たまにはいいだろうとトイレでつぶやく。

カリオストロ高校

2008年10月30日 木曜日

7時起き。
パソコンで制作作業をし、8時に外出。
夕方まではいつも通り。

6時過ぎに劇場入り。
いつものように受け付け関連の準備をする。

前説の緊張はなかなか飼い慣らせない。
前半は昨日より落ち着いてできたが、後半で緊張がぶり返してしまった。
なぜ、ぶり返したのだろう?
そもそもなぜ緊張するのだろう?
素の自分で立ってるからだと言う人がいるが、なぜ素の自分で立つと緊張するのだ?

緊張の源を突き止め、流れを断ち切ることができれば、それは役者としての大きな財産になると思う。
そして、一昨日より昨日、昨日より今日と、緊張の根っこに近づいているような気がする。
近づけば近づくほど、3話の自分は落ち着いていく。

舞台袖で、緊張について考察しながら芝居を聞く。
落ち着きを失い気味の箇所あり。
だが、全体的には面白く、好みの仕上がり。

終演後、亜企ちゃん、鶴マミ、7月に共演した森さんらと飲み。
他の面々はうどんを食べに行っていた。

森さんから、高校時代の寮生活の話を聞く。
大変面白い。
(これが普通なんだ)
と思えば、人は色々なことに耐えられるのだな。

逆に言えば、幸せが広告の形でパッケージされ、周囲に散乱している今の時代は、自分を不幸だと感じる罠に満ちているのかもしれない。

女子寮と男子寮の間には鉄条網が張り巡らされていて、日が沈んでから女子の敷地に侵入者がいると、自動的にサーチライトが点灯する仕組みだったそうな。
クラリスだらけのカリオストロ寮か。

1時帰宅。
制作作業を少しして寝る。

二日目

2008年10月29日 水曜日

7時半起き。
いつもの如く夕方まで頭脳を使う。
昼は野菜を食べる。

6時に劇場入り。
受付に田中智保ちゃん来てくれる。
すっかり頼る心地になる。

開場までの時間、受付さんへの説明など行う。

舞台集合し、昨日はできなかった挨拶をする。

客席は満席に少しオーバー。
昼間に何度も稽古したにも関わらず、前説、相変わらず緊張する。

二日目開演。
お客さんの反応が大きめだったため、芝居が良くなっているように思いがちだが、昨日よりも緊張が目立ったと思う。
俺の前説も、昨日より緊張した。

終演後、お客さんに挨拶。
喜んでいただけてた様子を見てホッとする。

帰りは飲み。
ひょっとして、毎日飲みになるのではないか?
恐ろしい。

トシさん、なっつと話す。
面白かったという感想をいただく。

初日は客入れ音響をなしにしたのだが、二日目の今日は静かな曲を流した。
演出的には音なしにしたかったのだが、なにか流れていないと落ち着かないとの意見を聞き、急遽流すことにした。
もともと目指していた完全音なし芝居は、客入れ客出し曲の導入でやや頓挫した格好となった。
が、芝居中の無音は貫いたから、よしとすべきか。

1時帰宅。
疲れた。
昼の疲れと芝居の疲れと受付の疲れと酒の疲れが混ざり合っている。
ともあれ、明日は向上せねば。前説を。

初日でハードな噛み

2008年10月28日 火曜日

11時劇場入り。

場当たりの続きをする。
カーテンコールの音決めも兼ねていたが、やることはそれだけだったので、1時間以内に終了。
役者はゲネプロに向けて準備開始となる。

写真撮影におなじみの浅香来る。
本日初日の映像撮影のため、松島君もゲネを見に来る。

3時、ゲネプロ開始。
出番以外は客席で見るようにつとめる。
1話2話、それぞれ快調。
3話もとちりなし。だが台詞のぬけはあった。
4話は知恵ちゃん元気よし。

ゲネ後、本番に向けての指示を出してから役者は一時解散。
客席で浅香と話す。
「本番前にごめんね」
と小声で感想を色々話してくれる。

話している最中、劇場のブレーカーが落ちた。
尾池さんと星ちゃんが対処にあたる。

篠原さんに電話する。
留守電にメッセージを入れる。
折り返し電話。
全部のブレーカーをいったん落とし、再び上げてくれとのこと。

尾池さんの追求で、漏電ブレーカーが落ちたとわかった。
その後、追求作業。
そのたびに何度かブレーカーが落ちる。

客席作りや掃除を盗みながら続ける。
犯人機材を特定できる寸前に、ブレーカーが落ちなくなった。

撮影の松島君来て、機材セッティングをする。
7時だった。
客席作りや掃除を慌ただしく終える。
集合して挨拶もできぬまま、開場となる。
大丈夫だろうか?
不安で一杯だった。

前説をやる。
舞台に上がってやるのは初めてのことで、えらく緊張してしまった。

受付はトラブルなく、開演となる。

舞台裏でやりとりに耳をすませる。
緊張で声がうわずっているような気がした。
漏電ブレーカーが落ちないか気にしながら、3話で自分の出番となる。

前説と比べれば、緊張感はほとんどなかった。
というより、役者として舞台に上がることで、待っている時よりホッとしたのは初めてのことだった。
実に落ち着く。
照明は暖かいし。
温泉のようだ。

だが、後半台詞を噛む。
5年振りクラスの、ひどい噛み方。
「(ベランダに行くと)取り返しがつかなくなるような気がして」
と言わねばならぬところを、
「とり、とりか、ダに行くと、とり、なく、えるよう、して…」
と言ってしまう。
なにがなんだかわからない。
鶴マミがすかさず次の台詞でつなげてくれた。
3話が終わり、4話を裏で聴き、客出し音楽を流し、挨拶をしたあたりで、悔しさがこみ上げてきた。

10時半に和民で初日打ち上げ。
乾杯の挨拶をする。
「ひどい台詞の噛み方をしました。すみません。乾杯」
よりによってビデオ撮影の日に。
撮影の松島君に、
「アテレコ、無理かな?」
と聞くが、相手にされず。

12時まで飲む。
明日は、役者は5時入り。
ゆっくりできるだろう。

1時帰宅。
ともあれ明けたことにホッと一息つく。
噛んだにせよ。

キーをなくし心底動揺する

2008年10月27日 月曜日

7時半起き。
いつもの仕込みでは6時起きだったり5時起きだったり、時には眠らなかったりしていたが、7時半起きなら日常生活と何ら変わらない。安心できる。

8時半に家を出る。
パーキング料金を払おうと思ったら、1万円札しかなかった。
コンビニまで走る。

道はそれほど込んでいなかった。
10時ちょうどに劇場へ。

搬入を終え、パンチをしき、暗幕の処理をし、パネル立てをする。
パネルをとりあえず立てたところで松本さんが一時退出。
ポケットから車のキーを出し、ドライバーの山口君に渡そうとしたら、キーホルダーについていたガレージのキーがなくなっていた。
真っ青になり、山口君と松本さんを連れ、車を停めてあるパーキングへ。
早足になる。
運転席の床や駐車スペースの周囲を探すが、鍵は見あたらない。
「あれじゃないですか?」
と一人冷静な山口君が荷台を指さす。
中に入ると、果たしてそれはガレージのキーだった。
心底ほっとする。

劇場に戻るが、昼はおおむね照明の吊り込みとシュート、明かり作りに費やされる。
楽屋作業や衣装作業もなく、待ちの長い仕込み日となった。

その間、客出しの音楽を編集する。
手のあいた芹くんと、3時過ぎ入りの綾香にそれぞれCDのタイトルを伝え、借りてきてもらう。

夕方、休憩を挟んでから場当たり開始。
明かりが細かく変化するのは2話。
1話、3話、4話は一度明かりができてからは、ほぼ変化せずそのまま。
音響もないので、落ち着いて場当たり進行につとめる。

9時過ぎ、カーテンコールを残すのみのところまで場当たりは終了。
残りは明日に回し、解散とする。

照明チームの作業が終わるまで劇場に残る。
10時過ぎ退出。
尾池さん、駅までなぜか半袖だった。

11時帰宅。
MDの余白削除と、パンフレットとチケットの印刷、その他制作作業の残りをする。
2時過ぎ就寝。

最後の稽古

2008年10月26日 日曜日

7時半にうちを出る。
新宿で松本さんと待ち合わせ。
レンタカーを貸してくれる人がキーをくれる。
車で新宿に来るのだと思っていたが、その人はキーだけを持ってきた。
松本さんと二人で直接池袋のガレージへ。

車を出し、五反田へ。
積み込む材料はそれほど多くはなかった。
明日の打ち合わせを少しして、車で駒込へ。

1時前に駒込到着。
タカタカ近くの中華料理屋でチャーハンセットを食べる。
やや旨い。

タカタカに入り、パンフレット原稿を書く。
結局昨日もまとめられなかった。
芹君が劇場を掃除していた。

パンフ原稿書き終える。
2時から稽古。
昼は微調整の微調整。
急所を急所でなくす作業。
実際の椅子を舞台に置いて稽古する。

5時半食事休憩。
餃子と鶏肉食べる。

夜、稽古場での最後の通し。
3話、ようやく全体の流れになじむ。

明日の予定を伝え、9時に解散する。
芹君とタカを車に乗せ、機材積み込みのために尾池さん宅へ。

車中、だらだら話す。

タカが話す。
「子供の頃、20キロくらいで走っているトラックの横に、ぶつかったことがあるんです」
「大丈夫だったの?」
「大丈夫でした。それで、大変なことしちゃったと思って、家に逃げ帰ったんです」
「トラックの運転手は?」
「運ちゃんも驚いて『お宅の子供大丈夫ですか?』と、うちに謝りに来たんです。でもお袋とか調子がいいんで『まあすみませんねえ』なんて言ってて」

しばらくして、バキュームカーの話になる。
タカが話す。

「子供の頃、くみ取り式だったんですよ。うちにバキュームカー来てました。バキュームカーが来ると、うちの中が臭くて臭くて。それで子供の頃、パニックを起こしちゃって、外に飛び出したんです」
「それで?」
「20キロくらいで走っているトラックにぶつかったんです」

つまり、バキュームカーの臭さにパニックを起こし、
「臭いよー!」
と外に飛び出したタカ坊は、走っているトラックに激突し、
「大変だー!」
とまた家の中に戻ってきたわけだ。

芹君と二人で大笑いした。